修士2年目による研究の進め方講座

研究者を目指しているあなたや、これから研究を始める学生へ

 

イシューからはじめよ――知的生産の「シンプルな本質」

イシューからはじめよ――知的生産の「シンプルな本質」

 

 

はじめに

研究テーマを見つけたけれども研究の進め方がわからないことはよくありますよね。私は学部のころ共同研究をしていたので、一人での研究とは違った苦労もたくさんありました。

 

修士なってからは完全に一人で研究・論文執筆を初めたのでその経験を共有したいと思います。

 

まず何をすれば良いの?

1. 徹底的なサーベイ

まずは自分がやってみたい研究の方向性について、できる限りの調査をしましょう。最初から研究テーマに具体性をもたせる必要はないです。情報工学系でブロックチェーンに興味があるなら、それと通信を組み合わせて効率的な伝送をできないかな。

 

あ、ここで大切なのはブロックチェーンに興味があるからといって、それを起点にテーマを考えすぎるのは良くないです。研究は何を実現するかであって、ここでのブロックチェーンはただの手段に過ぎません。手段を起点に考えるのではなく、最終的に目指したい世界を見据えたほうが良いテーマに巡り会えると思います。

 

でも、研究初心者のかたは、目指す世界なんて思い浮かばないですよね。私もそうでした。そんなときは、やはり興味のある手段について徹底的に調べると良いと思います。ブロックチェーンを使って最近はどんな研究がされているのだろう。これからのブロックチェーンはどの方向に進むのだろう。ということを見極める事ができれば研究の足がかりにすることができます。

 

なので結局大切なことは徹底的にサーベイすることです。興味のある大まかな分野の論文を大量に読んでください。最初は日本語論文でも良いと思いますが、基本的には英語で書かれた原著論文を読むようにしましょう。

 

なぜならば、世界の最先端は日本語では記述されていないからです。すべては英語なのです。

 

私が憧れる人物に落合陽一さんという方がいらっしゃいます。彼の考え方や研究の姿勢は非常に参考になります。彼の見据える世界を少しでも感じられればとても充実した知的生産活動が行えるのではないかと思います。

 

これからの世界をつくる仲間たちへ

これからの世界をつくる仲間たちへ

 

 

2. 提案方式を考える

目指す世界(研究テーマ)が決まったら、それを実現するために必要な方法について考えましょう。どうすれば、それを実現できるのか。何が必要なのか。何が不足しているのか。それらを考えることで、自分のオリジナルな方式を見つけることができます。研究はこのオリジナルな方式を見つけることです。

 

3. プロトタイプを実装する

先程考えたオリジナルな方式を用いて、プロトタイプを作ってみましょう。このときは速度を重視します。とにかく早く、自分の能力を限界まで使ってプロトタイプを作ります。なぜならば、提案方式が本当に有効なのか、作ることができるのかは、実際に作ってみないとわからないからです。ここで大きな問題が発生することがほとんどです。

 

そして、問題を解決するための方式を考えます。ここで2.へ戻って、解決を図ります。解決できたと思ったら、またプロトタイプを作ってみます。

 

研究はこの2と3の繰り返しだと思います。考えて、作り。また考えて、作る。

 

そして、出来上がったら研究の検証実験を行うことができるのです。

 

論文に書くためには、検証実験を行ったほうが説得力の高い論文にすることができます。客観的に評価を下すためには、その方式がどれだけの効果を発揮するのかをデータを基に分析する必要があるのです。なので、できる限り検証実験を行いましょう。

(まあ、世界には提案のみの論文も多くありますが)

 

4. 論文に書く

提案方式が決まり、プロトタイプを作り、検証実験を行ったならば、最後に論文を書きましょう。論文論文にはいくつも種類があり、査読のある国際的な学会やジャーナル、査読なしの国内研究会など様々です。本気で研究をしているならば、最初から査読ありの国際学会に投稿しましょう。もちろん落ちることもありますが、その論文を書いたという経験は非常に大きなものになります。なので国際学会に挑戦することは大切ですよ。

 

大学生のためのアカデミック英文ライティング: 検定試験対策から英文論文執筆まで

大学生のためのアカデミック英文ライティング: 検定試験対策から英文論文執筆まで

 

 

どうしても英語を書けないとか、学会が怖いならば、国内の査読なし研究会に投稿してみても良いと思います。国内研究会にも積極的に参加したほうが良いことは確かです。同じ分野を研究する同士に巡り会えることもありますし、今まで気づかなかった新たな知見を参加者から伺うこともできます。私は国際学会に挑戦することを推奨してはいますが、国内研究会へ行くことも大切にしましょう。

 

5. 最後に

私が思う研究活動について少し書いてみました。研究のやり方は人によって異なる点も多いと思うので尊敬する先輩や指導教員に伺ったり、真似をしてみるところから初めて見るのも良いでしょう。

 

 

日本進化論 (SB新書)

日本進化論 (SB新書)