【前田裕二】人生の勝算を読んで心に突き刺さったこと

  はじめに

メモの魔力を読んでから、前田裕二さんのメモを取る姿勢や想い、考え方に非常に強い魅力を感じました。彼の壮絶な過去と、現状を打破するために考え抜いてきた力は並大抵のものではありません。そんな彼には、「人生の勝算」という本があります。

 

私はその本にも興味を持ったため、読んでみることにしました。今回は、私が「人生の勝算」を読んで心に突き刺さったことを共有できればと思います。

 

 

人生の勝算 (幻冬舎文庫)

人生の勝算 (幻冬舎文庫)

 

 

彼の過去 

この本は前田さんの原体験に基づいて書かれています。前田さんは8歳の頃に、ご両親を亡くしています。それからは親戚の家に引き取られ、お兄さんと一緒に暮らしはじめました。貧乏に常に苦しめられ、お兄さんは自身の夢を諦めて、前田さんを支えるようになります。

 

前田さんも幼いながらに、何が何でもお金を稼がなければならないという思いから、お兄さんにもらったギターでストリートミュージシャンをやり始めます。

小さな子供が必死に演奏し、歌う。お金をもらうために、戦略を練り続ける。そこから彼の人生は強くなり始めました。

 

人の心に届くものはなにか

彼はストリートミュージシャンをしているときに、忙しく歩いている人たちがどうすれば立ち止まって曲を聞き、お金をくれるのかを必死に考えていました。最初は彼が作ったオリジナル曲を歌っていたそうですが、それではほとんど人が止まって聞いてくれることはなかったそうです。

 

そこから彼の思考は加速しました。

まず、主観的な思考から客観的な思考に切り替える。

 

自分だったら立ち止まるかどうかを考えたのです。

そして、見ず知らずの子供がオリジナルの知らない曲を歌っていても、周りの人は怖がってしまうことに気づいたのです。

 

未知より既知

そこで、歌う曲を誰もが知っているような歌謡曲に切り替えたのです。松田聖子美空ひばりなど、すでに誰もが知っているような有名な曲を。

 

すると、今まで素通りだった人たちが少しずつ立ち止まってくれるのでした。数百円ほどお金をくれる人が現れ始めました。

 

これは非常に大きな成果でした。ある日、立ち止まってくれた女性が、松田聖子の「白いパラソル」って知ってる?

 

曲のリクエストをくれたのです。しかし、彼はその曲を知りませんでした。一般的にはそこでなんとか歌うか、知らないと断ることになると思います。

 

でも、彼は違いました。「来週までに覚えてくるので、またここに来てくれませんか?」

 

再度、自分の歌を聞きに来てくれるように、約束を取り付けたのです。彼は一週間必死に曲を覚えました。

そして、約束の日、その女性は現れたのです。

 

彼は心をこめて、女性のためだけに歌いました。

聞き終わった女性は、そっと一万円をギターケースに入れて帰ったのです。

人のこころにストーリーを生む

女性は彼との約束の日まで、一週間という時間を自分の心の中で思いを馳せるのです。彼が歌う曲は本物の松田聖子にはかなわないかもしれない。でも、女性にとっては一週間、自分の心に思いを馳せ、ストーリーが生まれるのです。女性はそのストーリーに一万円を払うのです。

 

時間差で女性の夢を叶えることで、相手にとっては非常に大きな価値を生む 

 

ヒト対モノからヒト対ヒトへ

モノ消費が当たり前になった時代、モノを売る商売は景気や需要に強く依存する。

お肉屋さんやお花屋さんなどの、「モノを売る」商売は自身の努力、後天的な努力では乗り切れない景気に左右される。

 

しかし、地域のスナックはその限りではない。スナックのママと話すことで、悩みを聞いてもらったり、時には考えを改めたりすることが多いです。スナックは「ヒト消費」なのです。ママとの人間的なつながりや絆にお金が支払われるのです。

 

他人の物語から自分の物語へ

ママは完璧である必要がありません。特別美味しい料理を提供する必要がないし、お客さんよりも先に酔いつぶれてしまっても構わない。そんな少し抜けているような感覚がお客さんの心を掴むのです。

 

自分がママを支えてあげないと。

この感情が常連客に芽生えるからこそ、ママを応援したくなるのです。

 

このことを前田さんは「余白」と読んでいます。AKB48もクラスで10位くらいの子と銘打っている。完璧じゃないからこそ、ファンが「守りたい」と感じるのです。と

 

前田さんの本ではコミュニティを形成するための5か条が記されています。興味のある方は手にとっていただけると良いのではないでしょうか。

 

 

人生の勝算 (NewsPicks Book)

人生の勝算 (NewsPicks Book)

 

 

 

前向き課金と後ろ向き課金

この言葉に私は自分の心を強く打たれました。後ろ向き課金とはWebや動画サイトなどで、広告を外すためにはお金を払いなさい。という企業側の理由で、ユーザーはネガティブな感情で支払うお金のことです。もちろん、情報を無料にすることを強く推奨するわけではないが、この大量に情報が手に入る時代では、そのような仕組みはユーザーにネガティブな感情を与えるのです。

 

それに対して、前向き課金とは、ユーザーが自分から払いたいと感じるお金のことです。路上ライブなどもその一種だと思います。自分が心を打たれたから支払う。応援したいから払う。すべて自発的にお金を払うので、ポジティブな感情が残ります。

 

このように、人にはお金を払うということで満たされる欲求もあると思います。それらを活かすような仕組みサービスに取り入れることが、ユーザーの心を掴む方法だと思います。

 

YouTubeのスパチャもその文化の一つだと思います。前田だんのSHOWROOMにもそのような仕組みが取り入れられており、演者に対してバーチャルギフトを贈ることができます。

 

さいごに

前田さんは人について非常に深く考えています。自身の原体験を素に、日本を、世界を獲るための勝算を持っているのです。人生に決してブレることのない「コンパス」を持っている。だから前田さんは何があっても突き進むことができる。

 

この本にはそのようなコンパスを持つ大切さや方法についても非常に詳しく書いてあります。自分が人生で成し遂げたいことが何か探している方や、自分にとっての幸せとは何だろうと疑問を持っている方にはぜひ読んで欲しい一冊です。

 

 

人生の勝算 (NewsPicks Book)

人生の勝算 (NewsPicks Book)